先日の次男坊の遠足でのボランテイア
私もいろいろ思うところがあったけど、これももうひとつ,私の気持に引っかかっている。
1,392雙もの日本軍の船を沈没させたという潜水艦 LIONFISH
その艦内を見学しているとき、司令室に、兵士だった時代に潜水艦に乗っていたおじいさんが説明のボランテイアをしていた。
戦艦マサチューセッツの中にも、外の公園にも数人の退役軍人の方達がボランテイアをしていた。ある方は勇ましく自分の戦歴をかたり、ある方は私がシャペロンだとわかると、子ども達にどのポイントを説明したよいか、どれほどすばらしく,美しい船であるかということを誇らしげに語ってくれた。
でも、このおじいさんは違っていた。
静かに、とつとつと潜水艦をどのように潜水させるか,どのように浮上させるのかをゆっくりと穏やかに説明してくれる。
私のグループの子ども達は他のところでは大はしゃぎだったけれど、このおじいさんの穏やかさにトーンダウンしたのか、この部屋では皆 神妙に、静かにおじいさんの説明を聞いていた。
ところが、違うグループの子ども達が興奮したように息を切らして部屋に入って来たかと思ったら,そのうちの一人の男の子が おじいさんの顔を見るなり
「Did you shoot people? (人を撃ったことがある?)」とニコニコしながら質問したのだ。
私はあっけにとられたと同時に、おじいさんがどう答えるのだろうと、ハラハラしながらおじいさんの顔を見た。
おじいさんは「むずかしい質問だね。。。」と悲しげな笑顔をみせて、それ以上を語らなかった。
質問したこどもは、その答えで納得したのか,それとも答えてもらっただけでよかったのか、Thank you ! の一言もなくまた、違う部屋へと移って行った。
おじいさんの時代は、まだ徴兵制があった頃。年齢がきたら、否応無しに戦場におくられた世代だ。複雑な思いがあったに違いない。
日本でも今、本当に戦われた世代の方はもちろん、私の親の世代で、こども時代を戦争とともに過ごした方達も少しづつ世を去ろうとしている。
心ある方達が、若い世代に、覚えている戦争の本当の姿を伝えてくれることは、次の世代を生きる私たちにとって とても大切なことだ。
そして、そういう方たちもまた、このおじいさんのように「無邪気な」質問を向けられているはずだ。傷口に塩をぬられるような、そんな思いをされることもあるだろう。
この部屋を去るとき、私はおじいさんに話しかけずにはいられなかった。
「ありがとうございました。私は日本で育ちました。今日はシャペロンをしています」
と伝えると、穏やかに「そうかい、よい午後を過ごしておくれ」と握手を返してくれた。
私の胸は次の部屋に向かうボーイズをまた追いかけながらも、何ともいえない気持でいっぱいだった。