前々から考えていたことだとは知っていたけれど、昨日 学校から帰って来たお兄ちゃんが話したこと。それは、私にとってどうすることもできない。もう、親としての私の手が離れていることを実感することだった。
彼の将来就きたい職には必要な経験なのかもしれない。
彼の自立心、そんなことをいろいろ考えても、でも、どうしても母親の不安が先にたってしまう。
お母さん、そんな顔しないで。
お母さんが心配することはわかってるよ。でも、大丈夫だよ。
僕は18歳なんだよ、お母さんのサインがなくても、自分で決められる。
でも、きちんと話した方が良いと思って話してるだけだよ。
そういわれたら、言葉がなかった。
その通りなのだ。
彼の未来にどんな困難があろうとも、私はもう、何もしてあげられない。
祈るように見守るしかできないのだ。
彼がいろいろ説明するとき、私は何気に彼の手をみていた。
なんて、大きな手。あんなに小さかったのに。
その手を、その腕を、あなたの柔らかな心を蝕まれることだけは絶対に嫌だとおもったけど、でも、私はもう何も言えない。
決めるのは彼なのだ。
それが成人するということなのだと思ったら、夜中に目が覚めても泣けてきた。
真綿のようなおくるみで、母親として彼を包んであげられるのは、彼の人生の、ほんの一瞬でしかなかったのだ。と思ったら、よけいに泣けてきた。
巣立ちを前に、彼は今、大きな決断をしようとしている。
どのような決断を下しても、私は母親として見守ろうと思っていたけど、こんなことでもすぐ気持が折れる。
大きな夢の前には、母親の心配ごとなどちっぽけなものだし、また、私のこんな杞憂が彼の夢を壊してはいけないといつも思う。
でも、それでもやっぱり、母は愚かなのだ。
心配事はやまない。だから、口にする。
君死にたまふことなかれ。。。